| 蘭花譜/加藤光治・二口善雄/また戦前の時のように著者が標本を求め二口善雄画伯がそれを写生してゆくという仕事が再び始められたのである
1974年 解説付属2分冊 28.5cm×36.5cm 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
1941年12月8日,軍艦行進曲がラジオより流れて、米英への宣戦が告げられた 夜、この《蘭花譜》のその時までに描き上がっていた原画の割付を点検しつつ, びくびくしながら加藤光治氏宅で一杯やったときのことを思い出します。
それから,早く本になることを念願していたのにもかかわらず,太平洋の戦さ はいよいよ激しくなって行き、なかなかその運びには至りませんでした。そして, 暗くあわただしい日々の生活に追いまくられ,やがて互いに生きていたことを確 認し合う日の来るまで,忘れていたのです。原画の中の数枚は印刷工場で空襲に あい,焼失してしまったことをのちに聞かされました。戦後、少しずつ心の安ら ぎを得られるようになった頃,草花のことも人々の心に浮かんでくるようになり, また蘭もこの例に洩れず,私もこの辛くも生き残った《蘭花譜》の原画のことを 時々思い浮かべました。そして,何とかしてこれを甦らせて,本にすることがで きればと,その意中を加藤氏に伝えましたが,氏としてはなかなか踏み切れない ようでした。
もし原画の不足分を満たすことで本になるならばよいがと念じていたところ, 幸いにも平凡社の同意が得られたので,時間的にも健康的にも自分には今ならま だやれるはずだと決心し,まず不足分を描き整えることから出発しました。しか し、やってみると,前回の場合には花をほとんど自宅へ届けてもらっていたので, ゆっくり描けたのですが,こんどは人手不足で、資料のある場所へ出向き写生さ せて頂くというわけで,往復に相当の時間と労力を費やしました。未刊で終わっ た前の図譜では,交配種が 100 点以上も入っていたのを、今回はそれを省き,その代わりに、約2年間の予定でなるべく多くの原種を入れることにしたのですが, それでなんとかやれると思っていましたけれども,前の図版を描いた当時最新だ った資料の中には,今日では再び入手できぬものもあり,もはや珍種ではなくな っているものもあり,また最近渡来したものの中で現在としてはどうしても掲載 せねばならぬものの方がいっそう多く,それを描き加えることになったので,結局,予想していた数と時間をはるかにオーバーしてしまいました。
お探しの方、お好きな 方いかがでしょうか。
中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。輸送箱数ヶ所破れ。外箱傷、小汚れ。本体は経年並みです。もちろん読む分には問題ありません 。258482旧 |