木管尺八の中で特に短い物の調律は微妙です。１尺５寸、１尺４寸、１尺３寸と短くなればなるほどまともに演奏できる物が少ないというのが実感です。理論上では正しい設計かもしれませんが実際に演奏する人が調律に関与しているとは思いえないのです。１音１音ごとに吹き方を微調整しなくてはならないのでは音楽を楽しめません。また甲音の高い方は極端に音が出にくくなることが多いです。内径と指孔の相互関係が研究不足という気がします。今回の楽器は胡蝶の中でも特に硬い材質（カリン？）で作られており、クリアな音色が好みなので何とかものにしたいと思いました。改造するにあたっては別途入手した３Dプリンタ尺八「烽火」を大いに参考にしながら調整しました。例によって歌口は泉州スタイル、指孔も拡大ししています。第４・５孔の調律はかなり試行錯誤しましたが何とか使える１尺４寸が出来ました。実の詰まった乙音と空間を切り裂くような甲音が魅力の短管尺八です。１尺４寸は♯が３つ以上の曲は１尺４寸で吹いた方が運指がかなり楽になるので、１本持っていたらいざという時に役立つと思います。

【諸元】長さ425mm 重さ312g 頭部直径37mm   底部直径48mm 歌口内径縦19.5mm 横20mm エッジ深さ4mm 最大指孔11.5mm

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