「悠」といえばプラ尺八のロングセラーですが、姉妹品として木管の「悠」が一時期販売されていました。私の知る限りでは１尺６寸と今回の２尺の2種類があります。ただ需要が少なく短期間で販売をやめたのでオークションでもレアな楽器になってしまいました。木管の「悠」の素材は硬いのでそのままでもかなりよく鳴る尺八ですが、それをパワーアップすべく改造しました。例によって歌口は泉州スタイル、内径はやや大きかったので「息返し」を設けて適正な大きさにして吹きやすくしています。舌面角や天口の傾斜角も変えるとともに、指孔は第１・２・３孔を斜め下に拡大などなどの改造を行った結果「爆鳴りの２尺管」が誕生しました。またこの種の尺八を欲する人はライブなどで演奏する機会が多いと想像し、使い勝手のよい６孔にしました。（左利き用７孔をを埋め戻し右利き６孔に改造しています。）

リコーダーの指遣いは誰でも覚えていると思います。Saxもリコーダーとほぼ同じ運指で吹けます。ただ移調楽器なので「ド」の指で吹いた場合テナーサックスなら「シ♭」の実音が出ます。尺八は１尺８寸管で「人」と吹けば「ド」になり、２尺管では１音低い「シ♭」になります。つまりテナーサックスの楽譜を尺八で演奏する際には１尺８寸管ではなく２尺管を使えば、何の苦労もなく吹けるということです。テナーサックス奏者がライブ中にサックスから尺八に持ち替えるなんてカッコいいですよね。

演歌の伴奏やジャズ・ラテン等ジャンルを問わず活躍されていた村岡実師は１尺８寸管をC管、１尺６寸管をD管と呼んでいたそうです。筒音ではなくその尺八で出せる最低音で呼ぶことを提唱していたのです。（言い換えると「人」の運指で出せる音です。）この方式でいうと２尺管はB♭管となりますね。洋楽器と尺八の運指の類似性から考えると村岡師の考えもよくわかります。村岡師の演奏はYoutubeにいろいろアップされているのでぜひ聞いてみてください。そのリズム感・ノリの良さや多彩な音色に驚かされます。尺八を洋楽器に負けない楽器にしようとしていたんだなと思います。

【諸元】長さ615mm 重さ459g 頭部直径38mm   底部直径49mm 歌口内径縦20.5mm 横20.5mm エッジ深さ4mm 最大指孔12mm

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